2023年11月3日

私たちは、正義、表現の自由、そして文字の力を信じる出版社をはじめ、世界中の出版業界で働く人々に、この手紙に署名し、私たちの国際連帯コレクティブ「Publishers for Palestine」(パレスチナに連帯する出版社)に参加するよう呼びかけます。

私たちは、パレスチナ人の勇気、創造力、抵抗運動、歴史的土地への深い愛情、そしてイスラエルによる恐ろしい大量虐殺による暴力行為にもかかわらず、抹殺されること、沈黙することを拒否する人々の姿勢に敬意を表します。西側のメディアや文化産業の悍ましい共犯関係に対して、私たちは、ソーシャルメディアや街頭で、世界中で、集合し、書き、話し、歌い、虚偽と闘い、コミュニティと連帯を築き続ける人々と声のうねりに希望を見出します。


この1カ月間、私たちはイスラエルが集団懲罰として、禁止されている白リン爆弾や通常使用されていない新兵器を使い、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、ヨーロッパ、オーストラリアの政府の支援を得て、ガザを絶え間なく砲撃しているのを目の当たりにしてきました。私たちは、110万人のパレスチナ人がガザ北部の自宅から避難し、病院や、ガザ南部の学校、難民キャンプ、教会、モスクなどの避難場所が残酷に破壊されるのを目撃してきました。そして今、イスラエルが地上侵攻を開始したため、230万人(うち50%は子ども)が、シェルター、食料、水、燃料、電気といった生きるための必需品を無残に否定されているのを見ています。これまでに9,000人以上のパレスチナ人が殺害され、1948年のナクバの時にガザへ逃れてきた全世代の家族も殺されています。そして私たちは、耐え難い悲しみとともに、イスラエルが3,500人以上の子どもたちを殺害するのも目撃してきました。ホロコーストと大量虐殺を専門にするユダヤ人学者、ラズ・シーガルは次のように述べています。 「イスラエルのガザに対する大量虐殺的攻撃は、極めて露骨で、公然としており、外聞をはばからない」

イスラエルと欧米列強は、異論を消し去り、揺らぎつつある支配を維持するために、組織的に動こうとしています。2023年10月7日以降、出版界やメディア界では、抗議の発言に対する報復がすでに深刻かつ広範囲に及んでいます。私たちは、Mohamed Fayez Abu Matar, Saeed al-Taweel, Mohammed Sobh, Hisham Alnwajha, Mohammad Al-Salhi, Mohammad Jarghoun, Ahmed Shehab, Husam Mubarak, Mohammad Balousha, Issam Bhar, Salam Mema, Assaad Shamlakh, Ibrahim Mohammad Lafi, Khalil Abu Aathra, Sameeh Al-Nady, Abdulhadi Habib, Yousef Maher Dawas, and Roshdi Sarrajを含む、ガザで数十人のジャーナリストが殺害されたことを断罪します。

言葉や言語に細心の注意を払う文化関係者として、私たちは、イスラエル占領軍の指導者たちが、ガザの市民への攻撃を正当化するために「ヒューマン・アニマル(人間の形をした動物)」といった言葉を使って、この大量虐殺が始まったことに注目しています。ジェノサイドの文脈で同じ経験をしたことのある民族が、このような非人間的な言葉を使うのは衝撃的です。私たちはまた、106年前の1917年11月2日にイギリスのバルフォア宣言によって制定された「土地なき民のための土地」というシオニスト(およびキリスト教)の神話に埋め込まれた、抹殺と大量虐殺の言葉も想起させられます。

こうした白人至上主義、植民地主義、資本主義による抹殺、搾取、支配のシステムの歴史は、芸術や文化という高尚な世界の中でさえ、現在の瞬間にも反映されています。フランクフルト・ブックフェア/リトプロムがパレスチナ人作家アナニア・シヴィリに贈った賞の顕彰を拒否したこと(これに抗議する書簡には1,000人以上の著名作家が署名)から、ニューヨークの92Yでのグエン・タイン・ベトやバーモント大学でのモハメッド・エル・クルドといった作家の朗読会の中止、そして最近のArtforum誌編集者デイヴィッド・ヴェラスコの解雇に至るまで、欧米の文学・出版団体は、パレスチナのために発言する作家を沈黙させ、処罰することによって、米国とイスラエルの政治的・経済的利益と深く結びついていることを明らかにしました。

私たちは、イスラエルの占領と帝国主義的な献金者、資金提供者、政府の要求に臆病になり、沈黙し、協力することによって、このような抑圧を可能にし、容認する、企業や独立系出版社で働くすべての人々の共犯関係を非難します。私たちは、パレスチナ人と連帯する作家に対する取り締まりや検閲、書店主やスタッフに対するいじめや嫌がらせ、出版関係者に対する脅迫を非難します。私たちにとって出版とは、自由、文化表現、抵抗の行使です。私たちは出版社として、創造的で批判的なパレスチナ人の声と、帝国主義、シオニズム、入植者植民地主義に反対して連帯するすべての人々のための場所を作ることに尽力しています。パレスチナの解放を求める作品を出版し、編集し、配布し、共有し、議論する権利を、私たちは非難し返すことなく守ります。私たちは、これが抵抗における私たちの役割であることを知っています。

パレスチナの作家や文筆家を黙らせることは、パレスチナの文学的抵抗に対する恐怖を強化し、パレスチナ人の大量虐殺と土地の窃盗を助長するだけです。爆弾、建物の破壊、拉致、パレスチナ人収容者に対する拷問の背後にあるのと同じ恐怖が、パレスチナの文献をイスラエルの支配下に置いているのです。作家のガッサーン・カナファーニーが言ったように、「パレスチナの理念はパレスチナ人だけの理念ではなく、すべての革命家の理念である」。私たち全員が自由になるまでは、私たちの誰も自由にはなれないということです。

今こそパレスチナ人と共に立ち上がり、反植民地抵抗の新時代に踏み出す時です。オスロ協定での譲歩とシオニスト国家との関係正常化を拒否する時代です。今こそ、アルジェリアをフランスの植民地支配者から解放した抵抗のように、入植者=植民地体制に対する他の歴史的勝利を想起し、その理念を実践する時です。今こそイスラエルとそのアメリカやヨーロッパの後ろ盾からのパレスチナ解放への支援を強化する時です。今こそ私たちの間に連帯を築き、脅迫、抑圧、恐怖、暴力を集団的に拒否する時です。

私たちは、さまざまな出版業界の同志、友人、同僚に対し、この手紙に署名し、以下の要求を支持するよう呼びかけます:

  • 大量虐殺を止め、ガザ、ヨルダン川西岸、歴史的パレスチナ全域、そしてディアスポラのパレスチナ人に対するすべての暴力に終止符を打つこと。
  • イスラエルとその同盟国が犯した戦争犯罪の責任を問うこと。
  • パレスチナ人民の自由、抵抗、帰還を要求すること。
  • イスラエルのアパルトヘイトに対するボイコット、資金引き上げ、制裁(BDS)の呼びかけを支持すること。
  • 今後、世界各地で開催される国際ブックフェアや文学祭からパレスチナの声を封じるべきではないことを保証すること。その代わりに、彼らは自分たちの物語を共有するためにゲストとして招待されるべきである。
  • 出版業界を真の学びの場、言論の自由の場とすることにコミットすること。出版社として、私たちは戦争機構に反対しパレスチナの声に連帯する人々のためのスペースを作ることに尽力する。

出版業界に勤めている方、出版社を運営する方で、この声明にお名前を掲載されたい方は、こちらのフォームからご記入ください。